小林一光(昭40年法卒)

 コウキ(後期、高貴、光輝、恋多き)高齢者となりて早くも五年過ぎ去るも、未だ悟りの境地に達せず、あの欲こちらの欲など多少は弱まったものの、食欲だけは益々強まるばかりなり。

 そのため、昨年の退職後は、柏市界隈のあちこちの美味いもの処を探し求めてさ迷い、旺盛な食欲を満たし楽しんできた。今回、限られた紙面で、私の独断と偏見に従って探し出した美味いもの処の一端を紹介しよう。

『竹やぶ』柏本店

 先ずは蕎麦屋。柏ふるさと公園近くの小高い丘の上に鎮座している『竹やぶ』。本格的な蕎麦の風味に加え、店の雰囲気も大いに楽しめる。美味いので大の男には、せいろ一枚では物足りないかもしれない。

『竹やぶ』柏本店の田舎そば1,000円

 次は豊四季の『すずめ庵』。裏庭の樹木で遊ぶ雀たちを眺めながら、蕎麦だけでなく、季節に合わせ工夫されたセットのまぜご飯の味も楽しむがよい。その次は、豊四季近くの蕎麦懐石の『あずみ野』。避暑地のような静寂な樹木に囲まれた部屋で食する味はまた格別で、リッチな心持ちにもなれる。最後は柏市逆井の『無心庵』。手打ちの味は素晴らしい。一見無愛想な頑固親父風の店主を、昔美人姉妹が客を歓待して埋め合わせしている。

 次はうなぎ屋。柏市我孫子市成田市界隈には、うなぎ屋は数々あれど、関東風と関西風が同時に味わえる我孫子の『お賀川』が興味深い。また昨年オーナー逝去で閉店となった柏市岩井の『鳥善』は、味は無論のこと、古木造りの一見に値する店構えだったので残念。再開店を要望。少し離れるが、成田山表参道の坂の下から順に『駿河屋』『近江屋』『川豊』はそれぞれ味に特色があり、食べ比べるのも楽しい。名物女将のいる『近江屋』には、数年前に鶴瓶とタモリが来店し、NHKで放映された。

 次は洋食店。我孫子の『かじ亭』がおすすめ。個人的には昨年同年輩の創業オーナーが逝去されて寂しい。直径百メートル以上もある池を泳ぐ水鳥や睡蓮の花を眺めながらステーキを食すれば、リッチな気分を味わえる。食後に池畔を散策しながら、人影少ない吾妻屋や、人目を忍べる木陰で、意中の人を口説く雰囲気としても最適の処だ。最後は、拙宅近くの柏市千代田町のレストラン『千代田』。昔親父さん時代はラーメン屋だったが、息子夫婦がフレンチレストランを開いた。ここの赤ワインソースの黒毛和牛網焼きは絶品。もちろんバジルソースの熱々のエスカルゴも欠かせない。

傘寿を迎えてもまだ煩悩多く、強い好奇心から、あちこちの美味いもの処を巡り、旺盛な食欲を満たして楽しんでいる。戸外に出て体を動かして日光を浴び、加えて好ましい異性と楽しく過ごせれば、幸せホルモンが分泌され、生きる活力が湧き出す、と多くの識者が説いている。好奇心とユーモアの心を失わず、常に楽しい夢を見続けていれば、必ずその夢が実現すると、自己暗示をかけて過ごしている毎日である。

THE OLD SOLDIER NEVER DIES,BUT DREAMS FOREVER!!

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