史跡散策 王子・飛鳥山公園

 学生時代、横浜鶴見からお茶の水へ京浜東北線で通っていた私は、浦和や大宮には行ったことがあったものの、王子駅はいつも通過駅。そんな私が初めて王子で降り立つと、「渋沢翁のテーマパーク飛鳥山」など渋沢栄一を前面に押し出したポスターが目に飛び込み、街全体が渋沢一色のようで驚かされました。2025126日、寒いながらも青空が広がる気持ちの良い朝、9時半に森田会長を含む10名が集合し、史跡巡りの一日が始まりました。

 最初に訪れたのは、駅から徒歩3分の「お札と切手の博物館」。洋紙発祥の地を示す石碑が建つ、まさに「紙の街王子」を象徴する場所です。館内には江戸時代から現代までのお札や世界の珍しい紙幣・切手が並び、「一億円持てますか?」の体験コーナーや切手の目打ちを作るブースもあります。特に新紙幣の3Dホログラムや高精細すき入れなど、最新の偽造防止技術には改めて感心しました。

 次に、石神井川が流れる音無親水公園を抜け王子神社へ。ここは1322年に熊野から勧請された由緒ある神社で、地名「王子」の由来でもあります。境内には樹齢600年の大銀杏がそびえ、私たちが訪れた日は熊手市が開かれ、威勢の良い三本締めが響いていました。

 続いて飛鳥山公園へ。公園入口には日本一短いモノレール「アスカルゴ」があり、48m2分で走る可愛らしい乗り物に心が和みます。園内は四季折々の自然に恵まれ、蒸気機関車や都電が展示される児童エリア、多目的広場など幅広い世代が楽しめる造り。展望広場からは京浜東北線や新幹線まで一望でき、鉄道好きにはたまらないスポットです。今回の目的は博物館巡りで、私は「紙の博物館」と「渋沢資料館」を訪れました。紙の博物館では和紙や洋紙の歴史に触れ、特に木綿の破布を蒸し煮にして紙の原料を作る「ボロ蒸煮釜」が印象的でした。また4階の木版画「孔雀明王像(再摺)」は1303回も摺り重ねた逸品で圧巻でした。渋沢資料館では、飛鳥山を拠点に産業を興した渋沢栄一の足跡を辿り、短時間ながら理解を深めることができました。

 約3時間、どの史跡も駅から徒歩数分という好立地、密度の濃い散策となりました。最後はお待ちかねの「菜々香」へ。町中華らしいからぬ本格的で豊富な料理、好きなだけ頼めるシステム、飲み放題、そして温かい接客は嬉しい誤算でした。

 皆が大満足のうちに楽しい会は小林副会長によって締めくくられ、二次会へ繰り出した仲間はいずこへ・・・ (岩間徹夫記)

《ご投稿写真》